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マンション投資における「失敗」「成功」は、どのように決まるのでしょうか。

本来、他人が評価するべきものではないと思っています。

なぜなら客観的に「失敗」でも、目的を果たすのであれば本人にとっては成功とも言えます。現に「老後になって、ようやく不動産投資していて良かったと実感した」と話してくれた方に出会ったこともあります。

場面状況によっても「成功」か「失敗」かは変わりますので、他人が評価する事は難しく、おこがましいことです。それでも、私があえて定義するとしたら以下のようになります。

「投資目的を果たせないことが客観的にも主観的にも明らかで、結果(終了時)として損失がでてしまう状況であること」「失敗」とします。

ベストな投資以外は「失敗」とする方もいますが、甘めの定義にしております。

実は、マンション投資における「失敗」するパターンというのは決まっております。代表的な失敗例が、新築ワンルームマンション投資になります。

多くの専門家や投資家が「失敗」するからするな!と発信しており、私も同じ認識でおります。

では、なぜそう言われているのでしょうか?本当に「失敗」なのでしょうか?

友人に勧められて新築ワンルームマンションを購入した相談者の事例をベースに検証してみます。

このコラムで分かること

1.新築ワンルームマンション投資とは

2.なぜ「失敗」と言われる

3.なぜ購入してしまったのか

4.不動産業者の説明資料を見てみました

5.新築ワンルームマンション投資のメリット・デメリット

6.まとめ

1.新築ワンルームマンション投資とは

不動産投資には、投資した不動産を他者に貸して賃料収入などを受け取るインカムゲインと、投資した金額以上での売却を期待するキャピタルゲインがあります。

対象はワンルームマンションやアパート、戸建、オフィスビルなどで、現金購入する場合もありますが、ほとんどの場合はローンを利用致します。 

不動産投資の中で、新築のワンルームマンションを購入し、ローン完済後のインカムゲイン売却時のキャピタルゲインを目的とした投資方法が、新築ワンルームマンション投資になります。

主な新築ワンルームマンション業者は以下の通りです。マンションシリーズ名に地名を加えた投資物件を開発し、販売を行っております。

・(株)クレアスライフ

・スカイコート(株)

(株)インヴァランス

・(株)青山メインランド

・(株)FJネクスト

・(株)木下不動産

・(株)シノケンハーモニー

・(株)トーシンパートナーズ

・(株)モリモト

私の相談者の事例も、販売から管理まで自社で行っている大手の業者でした。シリーズ物のマンションで、内装や外観も同じような感じですが、立地も良く物件の設備も問題はありませんでした。

では、なぜ、新築ワンルームマンション投資は「失敗」と言われるのでしょうか。

2.なぜ「失敗」と言われるのか

月々の収支が厳しい

まず、月々の収支が厳しく、マイナスである場合がございます。

相談者の事例では、月々の収支のマイナスが15,000円程でした。この段階で「失敗」と断定する方も多いでしょう。でも、長期保有すれば「失敗」では無い可能性が残っています。

すぐに価値減が生じる

次に、購入後すぐに価値が減少します。

新築の場合、新築プレミアムと呼ばれる優遇状態でのスタートになります。しかし、その下駄を履けた状態は一度きりで終わってしまうのです。

物件価格家賃も新築という強みが無くなった途端に大きく値下がりします。新築時を100とすると、築5年以内に1割以上値下がり80台になってしまうのです。

新築時の販売価格には宣伝広告費など様々な経費が含まれているのは当然なのですが、意外と下落リスクは認識されておりません。特にワンルームの場合は、短期間で入居者が入れ替わるため、すぐに中古物件となってしまいます。

売ろうとしたら損失が出る・期待通りの収支にならない

また、営業マンがやり手の場合、どんどん買い増しのアドバイスをしてくるのですが、下落リスクを丁寧に説明されることはほとんどないでしょう。

やがて負担に耐えきれなくなった方やまとまった資金が必要な方は、物件を売却しようと考えるのですが、残高がある状態で売ると損失が出る可能性が高いのです。

長く保有したとしても、月々マイナス収支ではローン完済後からの投下資本の回収になります。その頃には物件の価値と家賃は下がり、支出は増えている状況になってしまっています。

つまり、売っても損失が出てしまう、投下資本を回収出来ないなど、投資しなかった方が良かったという事態になってしまうのです。インカムゲインもキャピタルゲインも期待外れだったということです。

問題は、業者がそれを上手く隠していること。適切に伝えていないことにあります。

3.なぜ気がつかずに購入してしまったのか

「失敗」するパターンとして、本人が不動産投資に関する知識や勉強が不足しているため、言いなりに納得し購入してしまうということがございます。

「価値ある資産」「節税になる」「保険代わり」など、特定の言葉が本人に響いたのかも知れません。

確かに、ホームページや物件資料と見てみると、やはり新築のマンションは美しいのです。中古物件と違って、テンションが上がります。

誰もが購買意欲を刺激され易いと思いますし、築古物件に比べると資産価値がありそうだと思ってしまうのはやむを得ないかと思います。

しかし、新築でなくなった途端、値下がりするのはお伝えした通りです。

また、不動産業界の闇の部分ですが、資料が都合が良いように作成されております。保険でも大事なところは小文字で書いてあるのと一緒ですが、変動要素を考慮した資料は作成しておりません。

実際のシミュレーション表を見てみると、長期保有すれば大きく資産が増やせるような試算がされておりました。50年の収支表で、収支累計がマイナスからプラスに変わるのが43年後なのですが、中身は余り見てないと言うことでしょうか・・・。

4.不動産業者の説明資料を見てみました

収支計算のシミュレーション表には以下の通りの記載がありました。

「本シミュレーションにおける数値は作成日時点での物です。今後の市場動向、法令及び税制の改定などによる変動要素がございますので将来の運用実績を確約する物ではありません

そして、50年の収支表によると、インカムゲインが650万円で、50年後の仮定売却額として、購入価格の40%の1,216万という試算結果が記載してありました。

前提として、支払額、管理費、修繕積立金、固定資産税、家賃収入が50年間も全く変動しておりませんでした。税控除だけは変動し、14年程でゼロ(節税効果がなくなる)というものでした。

どれも変動する可能性があるものだと思いますが、明らかに業者の都合が良い数字で、特に不誠実と言えるのが「修繕積立金」「家賃収入」の部分です。

「修繕積立金」はガイドラインで基準額が決まっており、新築時が最安値で、徐々に値上がりしていくのが通常です。その物件の場合は、現状の2倍が基準額なので、10~15年後から2倍になり、30年後には3倍になっていてもおかしくありません。

「家賃収入」も50年間下がらないというのはおかしいです。この物件はサブリース付きなのですが、50年間の家賃収入を保証するものではございません

この業者の契約書では2年更新ですし、「新築」でなくなったら家賃が1割程下落するのが通常で、築30年以降は7~8割程で見積もるのが誠実なシミュレーションではないでしょうか。

他にも、設備費は考慮されていませんが、ある程度の年数が経ってきたらリフォームをして賃貸需要に応えられるようにしなければならないでしょう。

これでは、いくら口頭で注意喚起なりリスクの説明をしたとしても、知識の無い一般の方では「騙された」「失敗した」と感じることでしょう。

5.新築ワンルームマンション投資のメリット・デメリット

新築ワンルームマンション投資が全て駄目かというと、投資という側面では厳しいのは確かですが、結局は物件価格次第になります。

新築プレミアムではない価格で購入出来るのであれば、十分に投資対象としては良いかと思います。それには、その立地の中古相場が分かっていなければなりませんので、素人向けではございません

メリットデメリットは以下の通りです。

メリット

 

・しばらく設備が壊れない為、急な出費が必要ない

・入居者が入りやすい(設備・間取りが最新のニーズを満たしている)

・売却しやすい

・長期保有することが出来る(35年ローンが組める)

・減価償却の恩恵を受けられる(節税面のメリット)

デメリット

 

・物件価格が高い

・利回りが低い

・長期保有しないと売却損になる

・中古になった途端に物件価格や家賃が下落する

・投資対象としての魅力が少ない

・月々の収支がマイナスになる

6.まとめ

残念ながら、新築ワンルームマンション投資の魅力は少なく、リスクが多いのが現状です。

東京のマンション価格は上昇しておりますが、物価が上がり家賃が上がり、キャピタルゲインが狙えるという経済状況でもございません。

投資対象としては厳しいので、「失敗」してしまう可能性が高いと言えます。販売業者から提案を受けた際は、資料や内容をよく見て疑問点を解消し、誠実な回答が得られるかで判断してみてください。

将来のことは分からないですが、今の段階で確実に予想できることもございます。問題が生じた時に自己責任にならないように注意が必要です。

そうだとしても、新築ワンルームマンションのニーズがあるのも確かです。

東京の単身者層はこれからも増加していきますし、好立地の所で快適で安全なマンションが増えるのは社会的にも良いことだと思います。

そのためには新築ワンルームマンションを開発してくれる業者が必要です。そして、本来は新築ワンルームマンションが投資対象として成立するような状況が望ましいとは思っています。

投資家も必要な知識を持ち、業者も誠実に情報提供し、適切な利益をみんなが得られるような、そんな理想的な状態が出来れば良いのですが・・・それが現状では難しいのです。

でも、ご安心ください。我々はワンルームマンション投資のプロです。

あなたを「失敗」させないために全てを提供致しますので、お気軽にお声がけください。新築ワンルームマンション投資によって実現しようとしていることは、中古ワンルームマンション投資でも可能です。

そして、より安全です。

また、既に新築ワンルームマンションを購入してしまった方であっても、状況を改善出来る可能性があります。今後の注意点やリスクをお伝えすることで準備すべきことが見つかるでしょう。

投資をするなら、絶対に「失敗」しないでください。「失敗」は不要ですし、それで成り立ってしまうビジネスを大きくしてはいけません。

あなたの大事な将来を設計するのは、売るのに熱心な営業マンでしょうか?それとも、あなたの側に立つ専門家でしょうか?